KudanSLAM、Synopsys社ARC EVプロセッサIPによる画像処理プロセスの40%速度向上を実現
12.17.2020
一般的に、SLAMの処理というのは、高いCPU処理能力とメモリ容量が必要とされています。Kudanでは既に、これらの要件をモバイル機器などでも対応可能な領域まで最適化しています。しかし、様々な他の処理と並行して行うため、更なるCPU・メモリの処理負荷低減に対するニーズは、特に消費者向けロボットやモバイル領域で高くあります。
このようなニーズに対応する上で、非常に有効な手段の一つがハードウェアによる処理速度向上・負荷低減であり、Kudanとしてもパートナー企業と共に取り組んでおります。以前の記事にあるように、Digital Signal Processor (DSP) IPのリーディング企業であるSynopsys社と共に同社の DesignWare® ARC® EV6x Embedded Vision Processor IPを用いたKudan Visual SLAMの処理速度向上に取り組んでまいりました。
今回は、これまでのSynopsys社との取り組みの成果を共有いたします。
Visual SLAMの処理において、センサからの画像データの取り込みとSLAM計算に用いるための各画像の処理という最初の工程が、処理全体の約半分程度の大きな部分を占めます。この最初のプロセスをCPUではなくDSPで処理をすることで、CPUでの処理負荷を大きく軽減し、かつ、SLAM全体の処理速度を大幅に向上することが可能となりました。
下記のSynopsysによるデモ動画では、屋内と屋外の両方のユースケースでのSLAMを見せており、自動車、産業用・家庭用ロボット、モバイル、XR (AR/VR)の幅広い領域での適用が可能であることを示しています。この結果を元に、Synopsys社と様々な領域での更なる連携を進めています。
デモ動画におけるキーポイント
●SLAM全体の約50%の処理負荷を占める画像処理工程における40%の速度向上を実現
●画像処理工程の加速にはARC EVプロセッサを使用し、ホストとなるCPUはx86、 ARM、RISCを含む複数のホストプロセッサに対応
●ARC EVプラットフォームを用いた組み込みシステムで、様々なユースケースにおける精度の高いKudan Visual SLAMを、リアルタイムで実行可能
Synopsys社のエンジニアであるLiliya Tazieva氏が2社の技術がどのように組み合わせられているのかを解説し、実際にARC EV6xプラットフォームで加速されたKudan Visual SLAMの様子を紹介しています。