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『embedded award 2021』最優秀賞受賞に関するインタビュー記事(第1弾)が掲載されました

06.11.2021

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Kudan株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:項 大雨、以下Kudan)は、革新的な製品を対象としたアワード『embedded award 2021』のスタートアップ部門で、Kudan Visual SLAM(KdVisual)が最優秀賞を受賞したことに関連した特集記事第1弾として、当社の子会社であるKudan USA LLC(以下、Kudan USA)のCEO 村井太郎のインタビュー記事がElektronik誌のウェブ版とプリント版にて公開されましたことをお知らせいたします。
なお、記事は全文英語のため、ウェブ版の和訳版を本リリースの別添資料として公開いたします。

オリジナルのインタビュー記事(英語):
https://www.elektroniknet.de/messen-testen/sensorik/many-reasons-to-use-proven-third-party-slam-software.186595.html

『embedded award 2021』スタートアップ部門の最優秀賞受賞に関する詳細:
Kudan Visual SLAM、embedded world 2021 DIGITALにてembedded award 2021スタートアップ部門の最優秀賞を受賞!

 


 

≪Kudan USA CEO 村井のインタビュー記事≫

Kudan Visual SLAMで作成した点群地図。左下はナビゲーション環境の一部。緑のマーク(左上)は、点群で生成されたポイントの一部を示している。

― オープンソースのVisual SLAMソフトウェアを用いた商用製品の開発は非常に困難で現実的ではないとのことですが
Kudan株式会社(以下、Kudan)は今年、同社のAPIソフトウェア製品の一つであるKudan Visual SLAM (KdVisual) で、『embedded award 2021』スタートアップ部門にて最優秀賞を受賞しました。Simultaneous Localization and Mapping (SLAM) と呼ばれる方法の中でも、主要センサとしてカメラを活用するVisual SLAMを用いることで、変化に富んだ複雑な環境下においても、ロボットやドローンなどのデバイスに非常に正確な位置情報を提供することが可能です。オープンソースのVisual SLAMのリソースはいくつかありますが、それらを利用しようとする企業はほとんど失敗に終わっているように感じます。

KdVisualは、1cm未満の地図に対する相対的な位置精度を提供しています。デバイス周辺の点群マップを生成すると同時に、SLAMと呼ばれる方法を用いながら、カメラとそれ以外のセンサからのデータを活用すると、デバイスの位置と姿勢をそのマップ上にてピンポイントで特定することが可能です。

― KudanとKdVisualについて、簡単にご説明いただけますか?
Kudanは、イギリスのブリストルで設立された会社で、KdVisual SLAMやLidar SLAMなどの研究開発は現在でもイギリスで行われています。また、Kudanにとって補完的なソフトウェアプロバイダーで、ドイツのミュンヘンに拠点を置くArtisenseを買収することにより、KudanとArtisenseと合わせて、30人以上のSLAM専門のエンジニアを抱える世界最大の独立系SLAMソフトウェア会社となります。

加えて、ArtisenseのDirect Visual SLAM、KudanのIndirect Visual SLAM、Lidar SLAMと3つのタイプのSLAMを提供することにより、ほとんどの顧客のニーズや開発プラットフォームをカバーすることができます。製品やデモの詳細については、KudanのWebサイトをご覧ください!

Kudan Visual SLAM(左)とKudan Lidar SLAM(右)で作成した点群地図と地図上の軌道データ

Visual SLAMは、アルゴリズムが複雑なうえ、そのアルゴリズムの適切な構築も難しいため、2D-Lidar SLAMと比べると信頼性と正確性が低いと見なされる傾向があります。しかし、KdVisualは、これらの誤解を解消するべく、産業用ロボットの要件を満たすための高速性、正確性、再現性などにおいて圧倒的にパフォーマンスが向上しています。様々な環境や変化に富んだ状況に加え、様々なセンサやプロセッサの選択肢においても動作するように構築されており、新規・既存のシステムやプラットフォームへの統合が容易に行えます。

― SLAMソフトウェアは市場にどれくらい存在するのでしょうか?
多くの製品でSLAMが使用されていますが、商用のSLAMソフトウェアを提供している会社の数は非常に限られています。これには、主に2つの理由があり、一つ目としては、オリジナルのSLAMソフトウェアをゼロから開発するには、コンピュータビジョンのエンジニアのチームと数年の研究開発が必要となります。また、商用目的でオープンソースのSLAMソフトウェアを適合させるとしても、何年にもわたる最適化とチューニングが必要です。二つ目は、この市場ではM&Aが非常に活発に行われており、その多くは、消費者向けデバイスや自動車分野などの大手テクノロジー企業に買収されてしまっています。それゆえ、多くの企業がオープンソースのSLAMソフトウェアを最初に試さざるを得ず、精度、堅牢性、メモリ容量およびCPU使用率の点において、商用要件を満たしていないことに気づくことが多いのが現状です。

― SLAMを活用しようとする企業はどのような点で苦戦しているのでしょうか?
多くの企業は、オープンソースのSLAMソフトウェアから始めていますが、小さなチームにとっては簡単には乗り越えられない多くのハードルが待ち受けています。これには、堅牢なリアルデータ処理、さまざまなセンサやプロセッサの要件への適合、メモリ容量および処理能力の制約内でのフィット、並びに技術融合時におけるサポートが限定的ないしサポート不足が含まれます。そのため、企業は、多額の研究開発予算を確保できたとしても、自社で信頼性の高いソリューションを実現するには1年以上かかることを悟り、頭を悩ませてしまうのです。

― クライアントはKdVisualをどのようにソリューションに統合しているのですか?
クライアント企業は通常、既存のプラットフォームの状況と必要なカスタマイズのレベルに応じて、2つの方法のいずれかを選択します。KudanのSLAMソフトウェアは、クライアント企業が自己位置推定機能の構築に使用できるライブラリとして提供しています。また、統合・開発中においてもサポートを惜しまず、必要に応じて新しい機能の作成も可能です。あるいは、既存のROS(Robot Operating Syste:ロボット開発において非常に普及しているプラットフォーム)ベースのシステムに追加可能なライブラリを提供することもできます。

さらに、Kudanは、エンジニアリング面でのパートナー企業とともにソリューションプロバイダーにもサービスを提供しています。KdVisualライブラリをパートナー企業に提供し、パートナー企業はKdVisualを組み込んだより統合ソリューションやそれに近いソリューションを開発します。ソリューションプロバイダーは、物体認識機能や自己位置推定機能を搭載したこれらのハードウェア・モジュールを使用してソリューション開発を実現します。

― KdVisualがターゲットとする適用領域は何ですか?
KdVisualがターゲットとする主な適用領域は、自律移動ロボットや無人搬送車などの産業用ロボットです。次に、ADAS (Advanced driver-assistance system) 、消費者向けロボット、AR/VRが挙げられます。KudanのSLAMアルゴリズムの堅牢性と性能は、特に、要求の厳しい産業用ロボット分野において優位性をもたらすものと考えていますが、高速性かつ正確な位置・空間認識が必要な分野であればどの分野においても、比類なき価値を提供しています。

― すでにAnalog Devices、NVIDIA、Qualcommなどの企業とパートナーシップを構築しています。エコシステムを今後さらにどのように拡大させる計画かをお聞かせください。
Kudanは、「拡大する」 ことではなく 「より深くに入り込む」ことに重点を移しました。すでにエコシステムを積極的に拡大しており、業界をリードする多くの企業と有意義なパートナーシップを構築していますが、現在は、既存のパートナーとの関係をさらに強固なものにするために尽力しています。パートナー企業が、SLAMを介したコンピュータビジョンをより簡単に実現し、共同ソリューションを活用できるように、特定の処理装置やセンサに対するSLAMアルゴリズムの最適化に取り組んでいます。

― Kudanのロードマップにおいて、次のステップはどのようなものでしょうか。また、来年の『embedded world』ではどのような展示を期待できるでしょうか?
KdVisualでは、効率的な処理方法で、風景の変化や動きのある対象物に対する堅牢性を大幅に向上させる機能にも取り組んでいます。また、長期的には、カメラと3D-Lidarを融合させ、両方の長所を1つのSLAMシステムにまとめたいと考えています。次の『embedded world』イベントで、これらの新機能のいくつかをお披露目できるように邁進しています。

※本インタビュー記事の原文はelektroniknet.deに掲載されております。


 

【Kudan株式会社について】
Kudan(東証上場コード: 4425)は機械(コンピュータやロボット)の「眼」に相当する人工知覚(AP)のアルゴリズムを専門とするDeep Tech(ディープテック)の研究開発企業です。人工知覚(AP)は、機械の「脳」に相当する人工知能(AI)と対をなして相互補完するDeep Techとして、機械を自律的に機能する方向に進化させるものです。 現在、Kudanは高度な技術イノベーションによって幅広い産業にインパクトを与えるDeep Techに特化した独自のマイルストーンモデルに基づいた事業展開を推進しています。
詳細な情報は、Kudanのウェブサイト(https://www.kudan.io/?lang=ja)をご参照ください。

■会社概要
会 社 名:Kudan株式会社
証券コード:4425
代 表 者:代表取締役CEO 項 大雨

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