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Kudanの視点~半導体と融合する人工知覚(SLAM)の未来~

03.06.2024

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半導体産業が今ひとつの黄金時代を迎え、その中で注目を浴びるのが人工知能との相乗効果です。AIチップと呼ばれる半導体は、生成AIの台頭により飛躍的な需要増を見せています。この現象は、単なる経済的なトレンドに留まるものではなく、新たな時代に突入した証と言えるでしょう。

ソフトウェアとハードウェアの相互依存性

では、なぜ人工知能と半導体の関係がこれほどまでに重要なのでしょうか。その理由を探るために、まずは人工知能と半導体の本質に触れてみましょう。人工知能は、ソフトウェアであるアルゴリズムによって構成されています。これらはハードウェア的な実体を持たず、「情報処理の設計書」として、純粋なソフトウェアとして機能しています。

一方、半導体は情報処理を行う回路です。その極めて微細な回路上で、膨大な情報を電気信号として効率的に処理することが可能です。このソフトウェアとハードウェアの組み合わせは、表面的には異なるものが組み合わさっているというとなりますが、技術的には密接に関連しています。両者は相互に最適化され、融合する形でより効率的な処理が実現されるのです。

例えば、8×7という計算をするソフトウェアがあり、足し算の回路だけを持つ半導体チップを使うと、その回路を7回動作させることで8+8+8+8+8+8+8=56という答えが出ます。一方で、もし掛け算の回路を持つ半導体チップを使えば、8×7は8に7をかける動作を一回だけ回路にかけるだけで、わずか1/7の労力で答えが出せます。

これは、ソフトウェアの処理内容をより効率的に処理できる回路が半導体チップに準備されているため、処理能力が飛躍的に向上します。極論としては、特定の目的を果たす「情報処理の設計書」を丸ごと一つの回路として物理的に作れば、複雑な四則演算をしなくても入力から出力まで一気に演算できます。例えるならば、特定の複雑な方程式を解くボタンがついた関数電卓があり、その方程式ならボタンひとつで解けるようなものです。これは、ソフトウェアをハードウェア化して半導体チップに回路として取り組むことを意味します。

逆に、ハードウェアに合わせてソフトウェアも形を変えて最適化できます。例えば、すでに半導体に効率的な回路が用意されている場合、ソフトウェア開発者はその回路を最大限活用するように情報処理方法を調整し、効果的に利用しようとします。

ソフトウェアとハードウェアの相互最適化のイメージ

半導体との融合は深層アルゴリズムの王道

こうした技術的な背景を踏まえると、AIチップの盛り上がりは、ソフトウェア(人工知能)とハードウェア(半導体)の密接な関係によって支えられていることが理解できます。人工知能は情報処理が膨大にかかるため、処理速度の向上が重要です。そのため、半導体メーカーはよく使われるAIソフトウェアで行われる情報処理のパターンを、半導体チップの電気回路としてハードウェアに直接組み込むことで、AIの処理を効率化しています。これにより、AI半導体チップが広く使われるようになると、それに適合するソフトウェアも一緒に利用されやすくなります。

重要なのは、技術の普及において、ハードウェアとソフトウェアは互いに近づき、影響し合うことです。これはアルゴリズム層の深層技術としては非常に一般的な現象であり、ある意味、技術普及のための王道となります。そして、人工知能と似て非なる技術ではありますが、同じくアルゴリズム層にあるKudanが取り組む人工知覚(SLAM)も当然、半導体と相互に融合していきます。

(ちなみに、これは技術の深層部分であるアルゴリズム層にのみ起こる現象です。他方で、一般的なソフトウェアの多くは表層的であり、例えばスマホアプリやSaaSアプリなどは、複雑なソフトウェアの積み重ねで構成されています。そのため、これらのソフトウェアをハードウェアの回路としてまとめて直接組み入れることは半導体チップの用途を著しく制限するものとなってしまうため実用ではなくなります。半導体のユーザーと、半導体の技術パートナーの本質的な違いです。)

人工知能よりも深く幅広く半導体と融合する可能性

Kudanの人工知覚技術(SLAM)が普及すれば、需要がある限り、半導体チップにKudanの技術が取り込まれ、融合していくことは必然です。ただし、昨今のAIチップとは異なる点もあります。

一つ目は、人工知覚(SLAM)が人工知能よりもはるかに複雑なソフトウェアであることです。これにより、人工知覚(SLAM)の方が半導体との統合が深くなります。例えば、人工知能の根幹のアルゴリズム自体では数百行であることが一般的ですが、人工知覚(SLAM)のアルゴリズムは数十万行にも及ぶことがあります。そのため、人工知覚(SLAM)のソフトウェア最適化、ソフトウェアのハードウェア化といった領域で、半導体との融合が深まり、高速化によるメリットも大きくなります。

二つ目は、人工知覚(SLAM)の方が人工知能よりも幅広い種類の半導体と統合できることです。例えば、人工知能は比較的単純なプログラムを膨大に処理することが重要となるため、それに適したGPUとよばれる並列処理回路(重い情報処理に適した回路)に特化した半導体と主に相互最適化して、いわゆるAIチップとなっています。

他方、人工知覚(SLAM)は比較的複雑なプログラムの中に様々な特性の情報処理パターンを持ち合わせており、それぞれ異なる特性の種類の半導体とバランスよく組み合わせて融合することができます。たとえば、近年見られる半導体の製品パッケージは、情報処理の司令塔となるCPU、重い情報処理に特化したGPU、その中間の特性を持つDSPやVPU、ニッチな需要に合わせてプログラム可能なFPGA、カメラに付属しているISP等、複数のプロセッサから構成されますが、それぞれの半導体の特性に合わせて人工知覚(SLAM)の要素を融合することができます。このように幅広く半導体と融合できれば、飛躍的に高性能化のメリットを享受することが可能になります。

半導体産業との連携

Kudanは人工知覚(SLAM)に取り組み続けてきましたが、Intel社のプラットフォームにて世界初となる商用SLAMパッケージを達成するなど、これまで半導体企業との幅広い協業を行い、実績を重ねています。今後、Kudanが半導体産業に貢献する役割は、人工知覚(SLAM)技術を通じて半導体とソフトウェアの融合を深め、効率的な情報処理を実現することにあります。

人工知能と比較すると、人工知覚(SLAM)はまだ普及前夜ではありますが、これから見据えるのは、まさしく人工知能がたどってきた道のりであり、そのためにKudanの取り組みは半導体産業にとって重要な意味を持つことになると考えています。

(画像:パートナーの一覧)

【Kudan株式会社について】
Kudanは、人工知覚(AP)のアルゴリズムを専門とするDeep Tech(ディープテック)の研究開発企業です。人工知覚(AP)は、人工知能(AI)と相互補完する技術として、機械を自律的に機能する方向に進化させるものです。現在、Kudanは高度な技術イノベーションによって幅広い産業にインパクトを与えるDeep Techに特化した独自のマイルストーンモデルに基づいた事業展開を推進しています。
詳細な情報は、Kudanのウェブサイト(https://www.kudan.io/jp/)をご参照ください。

■会社概要
会 社 名: Kudan株式会社
証券コード: 4425(東証グロース)
代 表 者: 代表取締役CEO 項 大雨

■お問い合わせ先はこちら

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